朝ドラ・エールで放送された『君の名は』の時代~昭和27年(1952)

朝ドラ・エール第111回で放送された題材となった『君の名は』は、

 

昭和27年(1952)から昭和29年(1954)にNHKラジオで放送されたラジオドラマです。

 

当時日本中が熱狂して映画化、テレビドラマ化、舞台化もされた作品です。

 

朝ドラ・エール第111回あらすじ-ネタバレ

 

戦後の家族を描くはすだった

昭和27年に始まる『君の名は』は伝説的ラジオドラマとして語り継がれる作品です。

物語は戦争末期、東京大空襲から始まります。

氏家真知子と後宮春樹が何度も何度もすれ違う物語に日本中が熱狂することになるのですが実は当初作者の池田(北村有起哉)にはそんなつもりはなかったのです・・・

 

当初は日本に住む3つの家族が主人公という設定だった。

生まれも育ちも違う三者三様の家族を通して描くありのままの戦後を池田は作品として日本中に届けたかったのだ。

今まではCIAが作品に口出してきて自分の思う作品が作れなかったのだ。

こうして3家族を並行して描く画期的なドラマとして放送を開始したはずだったのですが・・・

CIA : アメリカの情報機関。戦後の日本の放送に圧力をかけていた。

 

主要キャストの体調不良からの

<放送開始から半年>

キャストの一人、古川ロッパが体調を崩してダウンしたのだ。続いて、夏川さんも入院した。

この状況の中、池田は台本を書き直すことを決断した。

子供を中心に物語が進むというシナリオに書き直したが、その子役もおたふくかぜで寝込んでしまったのだ。

この当時のラジオドラマは生放送で、放送開始時間が刻一刻と迫ってくる。

それで仕方なく氏家真知子と後宮春樹をメインに物語を進めることにしたのだ。

 

二人で物語を進めるとストーリーに無理が生じるため重森(板垣瑞生)は放送を休止することを提案した。

だが、放送に穴をあけられないと池田は今までにかつてなかったシナリオを描く。

それが、氏家真知子と後宮春樹はお互いに会おうとするけど会えない、すれ違いの演出だった。

「二人とも会いに行くんだけど、なんか知らないんだけど会えない。切ないだろう」(笑)

このシナリオで物語を進めていれば入院している二人のキャストも戻ってくるだろうとの考えだったが・・・

古川ロッパの状態が悪くいつ戻ってくるかわからないとのことだった。

池田はそれだったら

「じゃぁ、何度も何度もすれ違う。もう二人は会わない恋愛ドラマ。画期的だろう」(ドヤ顔)

と、シナリオを描き始めた。

男と女が出会わない恋愛ドラマなんて・・・重森(板垣瑞生)は怒られるとうなだれたが、

氏家真知子と後宮春樹に絞ったストーリーは空前の大人気となったのである。

古川ロッパ : 1930年代の日本の代表的コメディアン。50年代は脇役中心ながらもラジオや映画出演は依然多かった。

 

『君の名は』大ヒット!

ラジオドラマの放送中に異例の映画化、こちらも大ヒット。真知子役の岸恵子の真似をする人で街はあふれかえりました。

ラジオの放送がある木曜の8時半には銭湯に女性客がいなくなるという逸話まで生まれました。

当初一年の予定だった『君の名は』は更にもう一年続くことが決定しました。

真知子と春樹の切ない恋の物語は昭和29年4月まで全98回続いたのでした。

この間、裕一(窪田正孝)が『君の名は』のために作った曲は500曲にも及んだのです。

氏家真知子を演じる主演の岸惠子が巻いていたストールの巻き方が「真知子巻き」と呼ばれて女性の間で流行した。これは、北海道のロケで寒さをしのごうと、持参していた私物のストールを肩から一周させ耳や頭をくるんでいたことによる。この姿は撮影にも使われることになり、「真知子巻き」が誕生した。

 

昭和27年(1952)はどんな時代だった?

<主な出来事>

  •  国会中継の放送がスタート
  • アメリカ軍の統治下にあったトカラ列島が日本国政府の施政下に復帰
  • 十勝沖地震発生。津波などにより死者28名、行方不明5名、家屋流出等被害8973棟。
  •  スターリンが東西ドイツ統一に関する交渉を求める覚書を西側占領国に送る。
  •  被占領解除。日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約発効。日華平和条約締結。GHQ廃止。
  •  羽田飛行場の施設の一部がアメリカ軍から返還され、東京国際空港としての業務を開始。

<スポーツ>

  •  巨人がプロ野球初の1,000勝達成。
  • 東京・青山に日本初のボーリング場が開場
  • 第15回ヘルシンキオリンピック開催
  • 白井義男が日本人で初のボクシング世界チャンピオンになる。

<芸能>

  • 第28回芥川賞、松本清張 の『或る「小倉日記」伝』受賞
  • 手塚治虫の「鉄腕アトム」、月刊誌「少年」に連載開始

<ヒット曲>

  • テネシー・ワルツ:江利チエミ
  • リンゴ追分:美空ひばり
  • 赤いランプの終列車:春日八郎

<流行語>

  • 恐妻 : 戦後の女権拡大によって強くなった妻に夫が頭の上がらなくなった
  • 風太郎(プータロー) : 日雇い労務者のこと、風の吹くにまかせた生活態度から
  • エッチ : 小説「白い魔魚」で取り上げられたのをきっかけに流行語となった