【読書】司馬遼太郎賞の受賞作品紹介

司馬遼太郎さんを偲ぶ、菜の花忌シンポジウムの時に授賞式がある司馬遼太郎賞の作品をまとめています。

第9回~第23回 司馬遼太郎賞受賞者

第23回(2019年度)
林新、堀川惠子著『狼の義 新 犬養木堂伝』(KADOKAWA刊)

西郷隆盛と犬養毅を魅惑的なエピソードで結び、「財閥王」と呼ばれた古島一雄という人物を配することで、作品を堅固で重層的、ダイナミックなものにしている。
西南戦争から日中戦争に至る六十年余を小説化している。ラストは魂魄に充ち、読み応え十分の作品。

 

第22回(2018年度)
朝井まかて著『悪玉伝』(KADOKAWA刊)

大坂の炭問屋の主・木津屋吉兵衛は三十六の男盛り。家業はそっちのけで放蕩の日々を過ごしていた。そこへ実の兄の訃報が伝えられる。実家の大商家・辰巳屋へ駆けつけて葬儀の手筈を整えるが、事態は相続争いに発展し、奉行所に訴状が出されてしまう。やがて噂は江戸に届き、将軍・徳川吉宗や大岡越前守忠相の耳に入る。真っ当に跡目を継いだはずが、罪に問われた吉兵衛は、将軍までをも敵に回した大勝負に挑む

 

第21回(2017年度)
奥山俊宏著『秘密解除 ロッキード事件』(岩波書店刊)

田中角栄逮捕はアメリカの虎の尾を踏んだためか。三木武夫首相は事件にどのように対応したのか。CIAと児玉誉士夫の関係。チャーチ小委員会はどこまで真相に近づいたのか。アメリカで発掘した文書をもとに、新たな視点からロッキード事件を見直している。

 

第20回(2016年度)
葉室麟著『鬼神の如く 黒田叛臣伝』(新潮社刊)

 江戸時代初期、黒田藩で起きた黒田騒動(栗山大膳事件)を題材にしている。 栗山大膳は黒田八虎の黒田利安の子。黒田藩の家老を務め、筑前六端城の一つ麻底良城の城主であった人物です。 関ヶ原の戦いにおける黒田長政の功により神君家康公からいただいた関ヶ原感状をうまく使って、物語は進みます。

 

第19回(2015年度)
飯嶋和一著『狗賓童子の島』(小学館刊)

太古から島の奥深く「聖域」を抱いてきた流刑の地に、幕末、島民を脅かす「病毒」が次々に入り込んできた。追いつめられた島民たちは、危険な道へと一気に足を踏み入れる。

 

第18回(2014年度)
伊集院静著 『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』(講談社刊)

明治二十年。ノボさんこと正岡子規は二十歳を迎えた。
子規は常に友人、師、家族から愛され、子規もまた彼らを慕った。そしてこの年、東京大学予備門で金之助こと夏目漱石と出会う。志をともにする子規と漱石は、人生を語り、夢を語った。明治三十五年、子規の余命が尽きるまで、二人の交際は続く。子規と漱石の友情を軸に、夢の中を走り続けた人、ノボさんの人生を描いている。

 

第17回(2013年度)
沢木耕太郎著 『キャパの十字架』(文藝春秋刊)

フォトジャーナリズムの世界でもっとも有名かつ最高峰といわれる「崩れ落ちる兵士」。誰もが知るこの戦争写真には数多くの謎がある。キャパと恋人ゲルダとの隠された物語を描いている。

 

第16回(2012年度)
赤坂真理著 『東京プリズン』(河出書房新社刊)
片山杜秀著 『未完のファシズム 「持たざる国」日本の運命』(新潮社刊)

第66回毎日出版文化賞受賞。天皇問題と戦後責任が主題。東京裁判、憲法、ベトナム戦争、宗教の話等が書かれている部分は興味深い。

大正から昭和の敗戦へ―時代が下れば下るほど、近代化が進展すればするほど、日本人はなぜ神がかっていったのか。皇道派vs.統制派、世界最終戦論、総力戦体制、そして一億玉砕。第一次世界大戦に衝撃を受けた軍人たちの戦争哲学を読み解き、近代日本のアイロニカルな運命を描き出している。

 

第15回(2011年度)
伊藤之雄著 『昭和天皇伝』(文藝春秋刊)
辻原登著 『韃靼の馬』(日本経済新聞出版社刊)

昭和天皇が即位したのは25歳。本書は側近や実力者たちが残した膨大な日記など、一級の史料を丁寧に掘り起こし、若かりし頃から晩年にいたるまでの多面的な昭和天皇の姿を描いている。「昭和」という時代を理解するために必読の評伝!

対朝鮮貿易を取りしきる対馬藩危機存亡のとき、窮余の一策として浮上したのが、伝説の汗血馬を馬将軍吉宗に献上しようという策だった。かつて朝鮮通信使の警固を務め、藩と幕府を救った若き藩士がいた。文武に秀で外国語に堪能で、消えゆく神代文字が読める若者がいた―。

 

第14回(2010年度)
楊海英著 『墓標なき草原 上下巻』(岩波書店刊)

対日協力者が粛清されるや、革命聖地の延安出身のモンゴル人共産主義者までもが、「民族分裂主義者」として弾圧の標的となり、災厄はさらにその家族や係累へと及んだ。内モンゴルに大量の漢族移民が送り込まれ、粛清はより組織的かつ残忍なものとなり、草原は荒れ沙漠と化していく。やがて内モンゴルの文革は、一人のモンゴル人が「内通者」の罪人に仕立てられ結末を迎える。巨悪は闇に葬られ、恐怖の現実は忘却され、語ることすら許されない歴史。

 

第13回(2009年度)
宮本輝著 『骸骨ビルの庭 上下巻』(講談社刊)

育ての親、阿部轍正は、子供たちの一人、桐田夏美への性的暴行の汚名を着たまま、苦悩のうちに死んだ。真相を求めて、八木沢は夏美の行方を追う。過去の謎が謎を呼び、秘密は深まる。一方、八木沢はビルにもう一度畑を甦らせようと一人耕し始める。そして、小さな命が蕾をつけるとき、骸骨ビルの本当の意味が明らかになる。自分は何のために、そして、誰のために、生きているのか?すべての生きとし生けるものへ贈る感動の長篇小説。

 

第12回(2008年度)
原武史著 『昭和天皇』(岩波書店刊)

新嘗祭、神武天皇祭など頻繁に行われる宮中祭祀に熱心に出席し「神」への祈りを重ねた昭和天皇。従来ほとんど直視されなかった聖域での儀礼とその意味に、各種史料によって光を当て、皇族間の確執をも視野に入れつつ、その生涯を描いている。

 

第11回(2007年度)
山室信一著 『憲法9条の思想水脈』(朝日新聞社刊)

戦後日本を支えてきた日本国憲法。その改正手続きを定めた国民投票法案が2007年5月、国会で成立した。争点は9条。人類の歴史のなかで、絶え間なく繰り返されてきた戦争。じつは、それゆえに平和を求める切実な声が途絶えることはなかった。日本でも幕末以降、軍備撤廃を論じ、戦争廃止を訴える思想が現れ、それらが第一次世界大戦後の「すべての戦争の違法化へ」という世界の動きと合流していった。憲法9条は、戦後、突然生まれたものではない。日本はいま「国益」「同盟強化」の名のもと、戦争を前提とした軍事力均衡(バランス・オブ・パワー)政策が国民を守らなかった19世紀に戻ろうとしているのか。

 

第10回(2006年度)
浅田次郎著 『お腹召しませ』(中公論新社刊)
長谷川毅著 『暗闘 スターリン、トルーマンと日本降伏』(中央公論新社刊)

第1回中央公論文芸賞。幕末から明治維新期を舞台としており、作者自身が祖父から聞かされた思い出話や、身の回りで起きたことなどを基に執筆されている。
高津又兵衛は困り果てていた。家督を継がせた入り婿の与十郎が、藩の公金に手を付けた上、新吉原の女郎を身請けし逐電してしまったのだ。家を守るためには“腹を切る”しかない、と知恵を授けられるが、まだ45歳の身を思うと踏み切れない。妻と娘はと言えば、家を守るためならと、いともあっさり「お腹召しませ」と言う始末。又兵衛が下した決断とは……。

米ソそれぞれの黒い「時刻表」をめぐって、野望と思惑と駆引きが交錯する。1945年夏のドラマは複雑で冷酷だった。はじめて完璧に描き出された太平洋戦争終結の真相。

 

第9回(2005年度)
北方謙三著 『水滸伝 全19巻』(集英社刊)

中国の四大奇書の一つとされる『水滸伝』を原典としつつも、全体を再構成し、独自の解釈と創作を加えてある。梁山泊や宋江のモチーフがキューバ島やカストロであるとのコメントが象徴するように、全共闘世代である北方の経験や心境を投影した、革命戦記としての要素が強く漂う。

第1回~第8回 司馬遼太郎賞受賞者

 

第8回までは人やグループに対して授与されていました。

第8回 2004年度 松本健一
第7回 2003年度 池澤夏樹
第6回 2002年度 杉山正明
第5回 2001年度 宮部みゆき、山内昌之
第4回 2000年度 関川夏央、青森県教育庁「三内丸山遺跡」発掘調査チーム
第3回 1999年度 宮城谷昌光、宮崎駿
第2回 1998年度 塩野七生
第1回 1997年度 立花隆