司馬遼太郎の『国盗り物語』斎藤道三編を読み解く④~小宰相~

斎藤道三 前編 小宰相の章-あらすじ

 

庄九郎は奇策で荷駄の金銀永楽銭を奪い取ろうとしている有年備中守と申す小名を返り討ちにしようとしている。

 

その奇策とは、荷駄にいる人数を手薄にして荷駄を襲わせ、その間に有年備中守の館に火を放つという策だった。

 

その日は風が強く、焼くには好都合だった。

 

頭上に上がった月明かりを頼りに庄九郎らはゆうゆうと館に入っていった。

 

この館で庄九郎は一人の女と出くわす。

 

この女は宰相(こざいしょう)といい、有年備中守の側室である。

 

京から都落ちして姫路の小寺氏に寄食してる公家の娘で、有年備中守の妾として売られていた。

 

 

庄九郎の計画は首尾よく進み、館に火を放つことに成功する。

 

館を燃やされた有年衆は奪い取った荷駄をすてて、慌てて館に引き返した。

 

それを見とどけけた庄九郎は、館を後にする。

 

崖を這いのぼっていた庄九郎だったが、宰相が足をつかんでいる・・・。

 

 

戦国時代の宗教観

 

後の斎藤道三、松波庄九郎は日蓮宗 妙覚寺 本山で僧として修業をしていました。

 

司馬さんは、庄九郎の宗教観を最初の開運の夜の章から書き綴っています。

 

 

開運の夜の章では、知恵第一の法蓮房といわれている庄九郎は、法華経の功力さえ信じておけば、殺すも正義。盗むも正義。と語っており、

 

 

運さだめの章では、お万阿と会う前に庄九郎は妙覚寺の本堂で釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)を前にして、真実の悪人とは菩薩のように荘厳極まりないものだと言い、

 

続けて、本尊よお前には、花を献じたり、水や法華経をあげてやったのだから、今度は俺のために仕えよ、力を与えよと祈る。

 

 

この小宰相の章では、庄九郎の足を離さない宰相に、法華経を念誦してやるから安じて死ね、オレが唱える法華経でお前はたちどころに仏子となり寂光浄土に生ずることが出来ると言わせています。

 

宰相から私を見殺しにすると地獄に落ちますよと言われた庄九郎は、私は法華経を念じているから地獄には落ちぬ、日蓮がそう申している。わしは日蓮より偉い故、地獄に落ちようが落ちまいがどちらでもよいと言い放つ。

 

結局庄九郎は宰相を助けたのだが、せっかく法華経の功力で仏国土へやろうとしたのに・・・運を逃したなと言い笑う。

 

笑った後は、宰相をどこかへ行けと突き飛ばす。坊主の頃に教わった理屈だが女は魔道だ。と書いている。

 

 

この庄九郎の宗教観は現代では考えられないが、乱世の世の戦国時代ではこの考え方が普通だったようだ。

 

この当時仏法というものは、自分の利益のためにあるものと信じるものが多かった。

 

日蓮宗だけでなく、真宗でさえ同じようであったようである。

 

 

国盗り物語紀行

 

有年峠

現在の赤穂市と赤穂郡上郡町との境にある峠です。

明治天皇行幸の際に国道2号線が整備された為、現在は有年峠はけもの道になっているようです。

 

この章では、庄九郎の荷駄が有年備中守から襲わた地として登場してます。

 

有年峠の地図(googleマップ活用)

国盗り物語 斎藤道三 前編

開運の夜 後の斎藤道三、松波庄九郎は妙覚寺を飛び出したが、乞食に成り下がっている・・・
奈良屋のお万阿 庄九郎は、青烏帽子の源八を討ったといって奈良屋を訪れるが・・・
運さだめ 奈良屋の護衛隊長になった庄九郎、荷駄を備前まで運ぶのだが・・・
小宰相 庄九郎は有年備中守の館に火を放とうとするがそこである女と遭遇するのであった・・・
京へ帰る 荏胡麻の買い付けをしながらも庄九郎は備前一国を盗れないだろうかと形勢を調べる。
淫楽~兵法者 奈良屋の主お万阿は松波庄九郎に会いに有馬温泉を訪れる。
お万阿悩乱~奈良屋の主人 庄九郎はついに万阿を抱き、奈良屋の主人になったのだが・・・
奈良屋消滅~美濃へ 庄九郎は名実ともに奈良屋を盗り、そこから一国を盗るべく美濃へ出立する。
常在寺~朱唇 庄九郎は美濃国に入り、常在寺の日護上人と兄の長井利隆に会う。
深芳野、西村勘九郎 長井利隆に同行し庄九郎は土岐頼芸に会う。名を西村勘九郎とする。土岐頼芸の愛妾深芳野も登場する。
京の夢、お万阿問答 一旦京の山崎屋に戻った庄九郎。庄九郎とお万阿の掛け合いがコミカルに描かれている。
槍術「一文銭」,槍、 槍 西村勘九郎が法蓮房時代より独学で学んだ槍術で名声を上げようとする。
水馬、林の中で 西村勘九郎はひょんなことから深芳野に接近する・・・
天沢履、虎の瞳、深芳野を奪る 勘九郎は得意の槍を使い頼芸と賭けをする・・・
川手城、火炎剣 土岐頼芸の使いで川手城を訪れる西村勘九郎。帰路で闇討ちにあうが・・・
那那姫 西村勘九郎は守護が住まう城を落とすために東奔西走する。
府城乗っ取り、大狂言 西村勘九郎率いる軍勢が守護・土岐政頼が住まう川手城を乗っ取りに向かう。