明智光秀と遠山の金さんは繋がってる?『国盗り物語』を読み解く⑯

 

国盗り物語 斎藤道三 前編 那那姫の章では、

 

西村勘九郎(後の斎藤道三)が守護が住まう城を落とすために東奔西走する様子が描かれています。

 

明智の郷と遠山の金さんの関係も記載していますよ。

 

斎藤道三 前編 那那姫(ななひめ)-あらすじ

 

西村勘九郎(後の斎藤道三)は美濃の守護土岐政頼が住まう川手城を落とすべく美濃国内を東奔西走した。

国中の村落豪族どもを訪ね、土岐政頼の弟・土岐頼芸の下知状を持って歩き回ったのだ。下知状には守護土岐政頼を討つと書かれている。

明智下野守瀬高の領地・明智郷には何度も足を運んだ。

何度も足を運んでくる勘九郎に明智瀬高はすっかり好意を持つようになった。

勘九郎は明智一族こそが将来自分の為に動いてくれると見込んでのことだった。

最初に明智の郷を訪れた時に三日も泊まり込んだ。その時から瀬高の娘・那那が勘九郎になつくようになった。

瀬高は那那を勘九郎に預け入れたいと申した。これは事実上の人質ということになる。勘九郎は膝を打ち喜んだ。

 

勘九郎は那那に京から取り寄せた衣装を着せ、邸内に那那の為の居室を増築した。深芳野の居室よりも立派であった。

これに深芳野は腹を立てたが、大切な預かり人だからとなだめた。

 

勘九郎は美濃国内の諸豪族を回り終えて、いよいよ政変をおこすべき夜を迎えることになるのだった。

那那姫の章-豪族たちの心をつかむのは大変!

 

那那姫の章の前章、火炎剣の章で勘九郎は土岐政頼から暴言を吐かれ夜討ちまで受けました。

これを受けて政頼の弟・土岐頼芸は兄を追放する決意をします。

那那姫の章で勘九郎は打倒土岐政頼に向けて仲間を募る為に美濃国内で味方になりそうな豪族を一軒一軒口説きに回ります。

勘九郎が回った場所を司馬さんは作中で下記のように書いています。

不破郡、養老郡、海津郡、安八(あんぱち)郡、羽鳥郡、揖斐(いび)郡、本巣郡、稲葉郡、武儀郡、郡上郡、可児(かに)郡、土岐郡、恵那郡、など、国中にこまかく割拠している村落豪族どもをたずねあるき、頼芸の下知状をまわして歩いた。
-(略)-
明智郷などは、何度も足をはこんだ。例の明智下野守瀬高の領地である。

(国盗り物語 斎藤道三編 那那姫の章 より引用)

かなり細かく郡を書いていますね。司馬さんのことですから何かしらの資料を基にこの地名を書いていると思われます。

勘九郎はこの中でも明智はもっとも信頼が出来ると、頼りになると踏んだのでしょうね。夜討ちのことも洩らしたし、そもそもお互い第一印象で好感を持ってますからね。

 

勘九郎が自分の野望に向けて回ったであろう場所をgoogleマップに落としてみました。今の岐阜県の県南を東から西へくまなく回っていますね。

距離と時間を計測してみると、総距離が287kmで徒歩で回ったとして60時間≒2.5日です。睡眠時間・滞在時間等を考慮すると4.0日程になります。但し勘九郎は徒歩でなく赤兎(せきと)と呼ばれる駿馬で回っています。

只、明智の郷には3回も足を運んでいるし、初回の訪問の時には3泊しています。そうすると他の豪族の館でも寝泊まりしたり、1回だけでなく2回訪れた地もあるかもしれません。そう考えると、滞りなく豪族たちを味方につけるには3~4週間は要しているかと思われます。

国を盗るという野望を叶える為にはこういった地道な努力が必要不可欠なのですね。

現代でも営業などでお客さんの心をつかもうとしたら何度でも足を運びざっくばらんな関係までにならないと商談の成立までにはなかなか至らないですからね。私もビジネスマン時代は営業をしていましたが、成約の確率は訪問回数に比例していました。

斎藤道三も現代に生きていたらきっと優秀な営業マンになっていることでしょう。

でも、コロナの影響で人と会うのが難しくなるとこれから営業のスタイルも変えていかないといけないんでしょうけど、斎藤道三ならこの難局をどう乗り越えるのか?先人たちの生き方に何かヒントになるようなものがあるかもしれませんね。

明智の郷と遠山の金さんの関係とは?

 

西村勘九郎の時代から約300年後、江戸時代の後半に遠山景本という人がいました。通称は金四郎と呼ばれていた人です。

テレビの時代劇でお茶の間の人気者だった遠山の金さんのモデルになった人ですね。

北町奉行の遠山左衛門尉が白州で悪人たちを吟味し最後に桜吹雪を見せ判決を言い渡すという痛快な時代劇ですが、この北町奉行・遠山左衛門尉のご先祖様が明智の郷の出身だと司馬さんは作中で書いています。

明智郷は-(略)-美濃平野からは二十里ちかく離れており、径は馬も脚をすくませるような嶮路がつづいている。
-(略)-この一帯を恵那郡とも明智ともいわず、ばくぜんと、
「遠山」
と通称していたほどであった。-(略)-遠山左衛門尉景本の先祖はこの地から出ている。

(国盗り物語 斎藤道三編 那那姫の章 より引用)

 

遠山左衛門尉景本は明知遠山氏の分家の6代目にあたる人物です。

明知遠山氏は明知城を拠点としていたとされ、岐阜県恵那市明智町にある龍護寺には、明知遠山氏代々の墓が現存しています。寺には寺宝として明智光秀所有の直垂の布が縫い込まれた袈裟を所蔵しており、明智光秀の供養塔もあります。

時空を超えて遠山の金さんと明智光秀が繋がっているなんて、ロマンがありますね!

国盗り物語 斎藤道三 前編

 

開運の夜 後の斎藤道三、松波庄九郎は妙覚寺を飛び出したが、乞食に成り下がっている・・・
奈良屋のお万阿 庄九郎は、青烏帽子の源八を討ったといって奈良屋を訪れるが・・・
運さだめ 奈良屋の護衛隊長になった庄九郎、荷駄を備前まで運ぶのだが・・・
小宰相 庄九郎は有年備中守の館に火を放とうとするがそこである女と遭遇するのであった・・・
京へ帰る 荏胡麻の買い付けをしながらも庄九郎は備前一国を盗れないだろうかと形勢を調べる。
淫楽~兵法者 奈良屋の主お万阿は松波庄九郎に会いに有馬温泉を訪れる。
お万阿悩乱~奈良屋の主人 庄九郎はついに万阿を抱き、奈良屋の主人になったのだが・・・
奈良屋消滅~美濃へ 庄九郎は名実ともに奈良屋を盗り、そこから一国を盗るべく美濃へ出立する。
常在寺~朱唇 庄九郎は美濃国に入り、常在寺の日護上人と兄の長井利隆に会う。
深芳野、西村勘九郎 長井利隆に同行し庄九郎は土岐頼芸に会う。名を西村勘九郎とする。土岐頼芸の愛妾深芳野も登場する。
京の夢、お万阿問答 一旦京の山崎屋に戻った庄九郎。庄九郎とお万阿の掛け合いがコミカルに描かれている。
槍術「一文銭」,槍、 槍 西村勘九郎が法蓮房時代より独学で学んだ槍術で名声を上げようとする。
水馬、林の中で 西村勘九郎はひょんなことから深芳野に接近する・・・
天沢履、虎の瞳、深芳野を奪る 勘九郎は得意の槍を使い頼芸と賭けをする・・・
川手城、火炎剣 土岐頼芸の使いで川手城を訪れる西村勘九郎。帰路で闇討ちにあうが・・・
那那姫 西村勘九郎は守護が住まう城を落とすために東奔西走する。
府城乗っ取り、大狂言 西村勘九郎率いる軍勢が守護・土岐政頼が住まう川手城を乗っ取りに向かう。